第二章 地域保健対策の推進に関する基本指針
第四条 厚生労働大臣は、地域保健対策の円滑な実施及び総合的な推進を図るため、地域保健対策の推進に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
② 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 地域保健対策の推進の基本的な方向
二 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営に関する基本的事項
三 地域保健対策に係る人材の確保及び資質の向上並びに第二十四条第一項の人材確保支援計画の策定に関する基本的事項
四 地域保健に関する調査及び研究並びに試験及び検査に関する基本的事項
五 社会福祉等の関連施策との連携に関する基本的事項
六 その他地域保健対策の推進に関する重要事項
③ 基本指針は、健康危機(国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態をいう。第二十一条第一項において同じ。)への対処を考慮して定めるものとする。
④ 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章 保健所
第五条 保健所は、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。
② 都道府県は、前項の規定により保健所を設置する場合においては、保健医療に係る施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第二項第十四号に規定する区域及び介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十八条第二項第一号に規定する区域を参酌して、保健所の所管区域を設定しなければならない。
第六条 保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
一 地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
二 人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
三 栄養の改善及び食品衛生に関する事項
四 住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
五 医事及び薬事に関する事項
六 保健師に関する事項
七 公共医療事業の向上及び増進に関する事項
八 母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
九 歯科保健に関する事項
十 精神保健に関する事項
十一 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
十二 感染症その他の疾病の予防に関する事項
十三 衛生上の試験及び検査に関する事項
十四 その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項
第七条 保健所は、前条に定めるもののほか、地域住民の健康の保持及び増進を図るため必要があるときは、次に掲げる事業を行うことができる。
一 所管区域に係る地域保健に関する情報を収集し、整理し、及び活用すること。
二 所管区域に係る地域保健に関する調査及び研究を行うこと。
三 歯科疾患その他厚生労働大臣の指定する疾病の治療を行うこと。
四 試験及び検査を行い、並びに医師、歯科医師、薬剤師その他の者に試験及び検査に関する施設を利用させること。
第八条 都道府県の設置する保健所は、前二条に定めるもののほか、所管区域内の市町村の地域保健対策の実施に関し、市町村相互間の連絡調整を行い、及び市町村の求めに応じ、技術的助言、市町村職員の研修その他必要な援助を行うことができる。
第九条 第五条第一項に規定する地方公共団体の長は、その職権に属する第六条各号に掲げる事項に関する事務を保健所長に委任することができる。
第十条 保健所に、政令の定めるところにより、所長その他所要の職員を置く。
第十一条 第五条第一項に規定する地方公共団体は、保健所の所管区域内の地域保健及び保健所の運営に関する事項を審議させるため、当該地方公共団体の条例で定めるところにより、保健所に、運営協議会を置くことができる。
第十二条 第五条第一項に規定する地方公共団体は、保健所の事業の執行の便を図るため、その支所を設けることができる。
第十三条 この法律による保健所でなければ、その名称中に、保健所たることを示すような文字を用いてはならない。
第十四条 保健所の施設の利用又は保健所で行う業務については、政令で定める場合を除いては、使用料、手数料又は治療料を徴収してはならない。
第十五条 国は、保健所の施設又は設備に要する費用を支出する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用の全部又は一部を補助することができる。
第十六条 厚生労働大臣は、政令の定めるところにより、第五条第一項に規定する地方公共団体の長に対し、保健所の運営に関し必要な報告を求めることができる。
② 厚生労働大臣は、第五条第一項に規定する地方公共団体に対し、保健所の設置及び運営に関し適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。
第十七条 この章に定めるもののほか、保健所及び保健所支所の設置、廃止及び運営に関して必要な事項は、政令でこれを定める。
第五章 地域保健対策に係る人材の確保
第二十一条 第五条第一項に規定する地方公共団体の長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十六条第二項に規定する新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた場合その他の健康危機が発生した場合におけるその管轄する区域内の地域保健対策に係る業務の状況を勘案して必要があると認めるときは、地域保健の専門的知識を有する者であつて厚生労働省令で定めるもののうち、あらかじめ、この項の規定による要請を受ける旨の承諾をした者に対し、当該地方公共団体の長が管轄する区域内の地域保健対策に係る業務に従事すること又は当該業務に関する助言を行うことを要請することができる。
② 前項の規定による要請を受けた者(以下「業務支援員」という。)を使用している者は、その業務の遂行に著しい支障のない限り、当該業務支援員が当該要請に応じて同項に規定する業務又は助言を行うことができるための配慮をするよう努めなければならない。
③ 業務支援員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第二項に規定する一般職に属する職員として第一項に規定する業務又は助言を行う者を除く。以下この項において同じ。)は、第一項の規定による要請に応じて行つた同項に規定する助言に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。業務支援員でなくなつた後においても、同様とする。
第二十二条 国及び第五条第一項に規定する地方公共団体は、前条第一項に規定する者に対し、同項に規定する業務又は助言に関する研修の機会の提供その他の必要な支援を行うものとする。
第二十三条 国は、第二十一条第一項に規定する者の確保及び資質の向上並びに業務支援員が行う業務又は助言が円滑に実施されるように、第五条第一項に規定する地方公共団体に対し、必要な助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。
第二十四条 都道府県は、当分の間、基本指針に即して、政令で定めるところにより、地域保健対策の実施に当たり特にその人材の確保又は資質の向上を支援する必要がある町村について、町村の申出に基づき、地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上の支援に関する計画(以下「人材確保支援計画」という。)を定めることができる。
② 人材確保支援計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 人材確保支援計画の対象となる町村(以下「特定町村」という。)
二 都道府県が実施する特定町村の地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上に資する事業の内容に関する事項
③ 前項各号に掲げる事項のほか、人材確保支援計画を定める場合には、特定町村の地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上の基本的方針に関する事項について定めるよう努めるものとする。
④ 都道府県は、人材確保支援計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、特定町村の意見を聴かなければならない。
⑤ 都道府県は、人材確保支援計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、厚生労働大臣にこれを通知しなければならない。
第二十五条 国は、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、人材確保支援計画に定められた前条第二項第二号の事業を実施する都道府県に対し、当該事業に要する費用の一部を補助することができる。
② 国は、前項に規定するもののほか、人材確保支援計画を定めた都道府県が、当該人材確保支援計画に定められた事業を実施しようとするときは、当該事業が円滑に実施されるように必要な助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。
(施行期日)
第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条の規定(次号に掲げる改正規定を除く。)、第四条中地域保健法第六条の改正規定、第五条の規定、第八条中医療法第六条の五、第七条、第七条の二、第二十七条の二及び第三十条の四第十項の改正規定、第九条及び第十二条の規定並びに第十七条中高齢者の医療の確保に関する法律第百二十一条第一項第一号イの改正規定並びに次条第一項から第三項まで、附則第三条、第四条、第八条から第十二条まで、第十四条及び第十六条から第十八条までの規定、附則第十九条の規定(次号に掲げる改正規定を除く。)、附則第二十四条の規定、附則第三十一条中住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)別表第二の四の項、別表第三の五の五の項、別表第四の三の項及び別表第五第六号の三の改正規定並びに附則第三十六条から第三十八条まで及び第四十二条の規定 公布の日
二 略
三 第二条の規定及び第四条の規定(第一号に掲げる改正規定を除く。)並びに附則第五条、第六条、第十三条及び第二十条の規定 令和五年四月一日
(検討)
第二条 政府は、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。以下同じ。)の罹患後症状に係る医療の在り方について、科学的知見に基づく適切な医療の確保を図る観点から速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、新型コロナウイルス感染症に関する状況の変化を勘案し、当該感染症の新型インフルエンザ等感染症(感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症をいう。附則第六条において同じ。)への位置付けの在り方について、感染症法第六条に規定する他の感染症の類型との比較等の観点から速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、予防接種の有効性及び安全性に関する情報(副反応に関する情報を含む。)の公表の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
4 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この項において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(地域保健法の一部改正に伴う経過措置)
第十三条 刑法施行日の前日までの間における第四条の規定による改正後の地域保健法第二十八条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。
(政令への委任)
第四十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。